モダニズム建築にヴィンテージラグ・ペルシャ絨毯を合わせる|伊狩が敷く。Vol.1
【オフィスにラグを敷く】
モダニズム建築事務所にヴィンテージラグ・ペルシャ絨毯を合わせる|伊狩が敷く。
そこにラグがあっても無くても。
伊狩がその空間に合うラグを敷きまくる、「伊狩が敷く。」
第1回は、モダン建築の美しさが際立つ船橋設計事務所様へ。名プロダクトが並ぶ空間に合わせるのは、絨毯の最高峰・ペルシャ絨毯と個性あふれるヴィンテージトライバルラグ。伊狩のテクニックによって空間がどう変わるのか。その一枚が生み出す違いを、ぜひご覧ください。
第一回訪問先:船橋設計事務所
建築家・船橋純司様(自宅兼事務所)
記念すべき第1回目は、愛知県を中心に洗練されたモダニズム建築・住宅設計を手がける建築家、船橋純司さんの自宅兼事務所へ。美しいコンクリート構造や、計算し尽くされた光のラインに対して、G.E.Mの誇るオールド絨毯がどう空間を仕立てるのか。伊狩の目利きが試される訪問となりました。
▶ 船橋設計事務所様 公式プロフィールサイト
01. ラグで空間が仕上がるって、こういうこと!
船橋設計事務所は、コンクリートなどの無機質な素材と木材を組み合わせるのが得意な設計事務所。一見、ペルシャ絨毯と合わせるのは難しいと思いがちですが、僕は敢えて、ここにウールのペルシャ絨毯を。
どうです?一気に大人の雰囲気が増しませんか?
コンクリートやブロックといった無機質な素材には、赤く格好良いトライバルラグを敷きたくもなりますが、ここでいわゆる“引き算”を。目立ちすぎてもダメ、引きすぎても意味がない。それをベージュ系のペルシャ絨毯で表現します。
普段、部屋にラグが無くても問題ないですよね。でも、こうやって見比べてみると、ラグを敷いた方が空間が仕上がるのが一目録然です!
敷いた後の空間全体を見渡すメインカット。引き算の美学が空間に馴染みます。
何も敷いていなくても素敵ですが、、、
ラグを一枚敷くだけで空間の広がりが変わります。
大切な施主様を迎える打ち合わせスペースには、おもてなし要素も必要!さりげなく敷かれたペルシャ絨毯に、施主様の心も落ち着くはず。
しっかりと目の詰まった、イラン・ナイン産のペルシャ絨毯。白とベージュ、ナインブルーとも呼ばれる特徴的なブルーが合わさり、優しさと深さを与えてくれる、僕も大好きな絨毯のひとつです。
02. こういうところにこそ、ラグを!
打ち合わせ兼作業スペースの端に、和モダンなランプとknoll・サーリネンのアームチェアが。一般的にはラグが必要無さそうな場所でも、敷いた方が空間に奥行きを感じられるなら、僕は敷きます。ヴィンテージ感をしっかりと纏った、細長いラグを選んでみました。欲を言えば、もう少し細いラグでもよかったけど、そこは誤差ってことで(笑)。
ラグを敷いたら途端に、このスペースが特別なコーナーに。マスタードイエローとラグのヴィンテージレッドが最高です。ラグを一枚敷くだけで、何でもなかった場所がちゃんとひとつのスペースになる。良い例だと思います。
ラグが必要なさそうにも思える、すっきりとした状態。
伊狩が敷く:サイズ感や位置のバランスを現地で細かく見極めていきます。
マスタードイエローのチェアとヴィンテージレッドが見事に調和し、奥行きのある空間へ。
敷いたのは、イラン・バルーチ族のヴィンテージトライバルラグ。180×70cm程度と細長く、サブ的なラグとして大活躍してくれるラグです。
マスタードイエローと赤って意外な組み合わせに思えますが、実は相性が良いんです。某有名ファストフードのロゴを思い浮かてもらえば、なんとなく納得ですよね。
03. 王道のシルクペルシャ絨毯、登場!
事務所の奥には優雅な和室が。施主様のイメージづくりにはもちろん、ここで休憩することもあるそう。そんな和室にはやっぱり、王道のシルクのペルシャ絨毯を。僕の中でシルクペルシャは、空間を凛とさせるにはこの上ないアイテムだと思っています。
今回は遠慮がちにザロニムサイズ(150×100cm程度)を敷きましたが、思い切ってドザール(200×150cm程度)を持ってきても良かったですね。和室をどのように使いたいかで、同じシルクでも色味やデザインの提案の仕方が変わります。
今回は伊狩的「凛とした華やかさ」をイメージ。うっすらとブルーグリーンやピンクが入った絨毯は落ち着きながらも華やかさを演出してくれます。こんなところで昼寝でもできたら最高ですね。
今回は張り切って、MIRMEHDI工房の華やかなものを敷きました。MIRMEHDI工房はイラン・クムを代表する工房のひとつで、絨毯というより“ひとつの絵”を見ているような感覚になります。僕も憧れの絨毯の一つ。
04. デザイン・色、これを選んだ自分を褒めたい
作業スペースに鎮座していた、イームズ ラウンジチェア。ここにラグを敷けるなんて、テンションが上がります。トライバルラグと迷いましたが、やっぱりここはイラン・タブリーズ産のウールのペルシャ絨毯を。
魚が跳ねることで水面に波紋が広がるような、そんなイメージを持つ「マヒ柄」と呼ばれるものです。僕の経験上、マヒ柄はどんなインテリアにも合わせやすいですが、特に北欧家具にはうってつけの一枚。空間全体に波紋が静かに広がるようで、敷くだけで心地良いんです。
黒のレザーに、やわらかなピンクやブラウン、ベージュのラグ。これはもう、選んだ自分を褒めたいぐらい最高の組み合わせです。
パーソナルチェアには、チャラクサイズ(120×80cm程度)もしくはザロニムサイズ(150×100cm程度)が丁度良いサイズ感。チェアや空間によってサイズを選んでくださいね。
05. ここまできたら、カシャーンも敷きたい
設計事務所の2階のご自宅にも、ラグを敷かせていただきました。ここは迷わず、シルクペルシャ絨毯を。イラン・カシャーン産の白とベージュを基本とした絨毯です。
ご自宅は1階の事務所と違って、木板をふんだんに使った、温かみのある空間。ラグ好きの僕からすれば、トライバルラグやウールのペルシャ絨毯のイメージも浮かびます。でもここはやっぱり、シルクペルシャでこの上ない設えを。
明るい木の色と洗い出し仕上げの土間。ここを繋ぐには、目を引きすぎる赤でも無く、厚みのあるウールペルシャでもありません。淡いけれど存在感があり、さりげなく出迎えてくれるこの儚げな表情。カシャーンのシルクペルシャだからこそ、この雰囲気が作れたと自画自賛です。
カシャーンは、ペルシャ絨毯らしい王道の柄が魅力です。 素材はウールが中心で、シルクで織られたものもあります。華やかで存在感があるんだけど、敷いてみると意外と空間にすっと馴染むんですよ。
【伊狩が敷く。】第一回を終えて
やっぱり絨毯のある暮らしって楽しいですね。
今回ご協力いただいた船橋設計事務所様は、建物そのものが素晴らしいのはもちろん、名プロダクトに囲まれていたので、そもそものポテンシャルが高くてちょっと緊張しました。最初は「ラグが無くても充分では?」と弱気になりかけましたが、ラグを敷いてみるとやっぱり、もの凄く良いんです。空間がしっかり仕上がるイメージです。
誰かの家に行ったとき、「なんでここにラグを敷かないんだろう」って内心、そわそわしていることが結構あるんです。その“そわそわ”を解消すべく始まったこの企画。
ラグがあっても無くても。どんな家でも、伊狩がラグを敷きます!